PSVita版うたわれるもの偽りの仮面、無事にクリアしました。
本作は、うたわれるもの~散りゆく者への子守唄~の正式な続編になります。
ものすごく長い体験版をした感じ
私は前作うたわれるものに関してはPC版からPS2、PSPと一通りやってきて軽く30回は周回プレイしてます。なので、どうしてもうたわれに関しては贔屓目にみてしまうかな、と思ってました。そんな私ですら、今作は全く擁護できないレベルのものでした。
前半のダラダラした話がようやく終わり戦が始まった!と思ったら、すぐにエンディングですから。もはや雑談シナリオパートを引き伸ばした体験版じゃないかと疑うレベルです。戦闘パートのボリュームが圧倒的に足りない。ですので、こんなことは言いたくないですがまだ買ってないなら、オススメはしませんよ、と。
それがクリア後の一番の感想です。
前作とのリンク
ゲーム自体を見ていきますと、キャラクターの相関関係は前作プレイ者ならやる前から公式サイトとPVを視るだけで想像ができると思います。ええ、あなたが思っている通りです。
PVで雪道をさまようハクが着ている服、どう見ても医療患者が来てる服です。ヒロインのクオン、はいあなたが思っている通りの素性かと思われます。でもそんなことはどうだっていいんです。このパーツが全く話に生かされていません。もしくは活かす前にゲーム自体がエンディングを迎えます。出会いのシーンがスコンと抜けてます。多分次回のネタバレも兼ねてるのかもしれません。
父親を知らない、父親に憧れを描いているクオンが遺跡マニアになって遺跡の発掘をしている。彼女としては遺跡は父親であるハクオロとの唯一の接点なんでしょう。そこで父親の手がかりになるかもしれない人物を見つけてハクと名付ける。見たこともない父親をハクに映しながらそれが恋心に変わっていく、といった描写が薄いんですよね。あれだけ無駄な日常シーンがあるのに。
今回の舞台はヤマトです。名前を見ると間違えそうですが、マップを見る限り満州のあたりのイメージです。前作の舞台であるトゥスクルは日本のような地形をしています。この2国は、時期により陸続きになる場合があるようです。なお、あくまでも本作の舞台はヤマトです。
前作とのキャラは登場しますが、メインシナリオのアクセント程度と思ってください。実際に戦闘ユニットとして参加するキャラはいません。敵対するキャラはクロウのみです。しかも1戦だけ。
協撃なし!敵の先制攻撃で一撃死も…
肝心の戦闘ですが、前作にあった協撃はありません。新しく加わったのは連撃のチャージリング。押していてタイミングよく離すことで連撃になります。そして連撃のレベルにより効果範囲が増えていきます。
前作になかった高低差の概念も加わりました。これは望んでいたことだったのでとても良かったです。あまり生かされたステージはありませんでしたが。
戦闘も前作と随分変わっています。前作は範囲魔法が敵のいない場所でも指定できました(そのため十字の魔法などが扱いやすかった)が、本作は敵がいない場所は指定できません。初期配置も指定できず、しかも本作は敵と味方のユニットが1手で接触するマップが多くあります。このため、敵の攻撃が速いと先制で倒されてしまいます。
前作との大きな違いもこの先制で倒されるほどの1発勝負の戦闘になっている点です。一撃が敵味方ともに与えるダメージが大きいために、すぐに死にます。「とても大味」なゲームバランスです。まるでサムスピのようです。
さらに気力という概念が加わり、気力が高まると追加行動が取れるようになります。この追加行動が一撃必殺のこのゲームバランスを更に悪くさせています。本作はだいたい直撃の攻撃を2回食らうとどんなキャラも死んでしまいます。つまり追加行動が発動した場合、まず死にます。作りが雑すぎますよ。
UI等についてですが、全体的に文字が小さく読みづらいです。戦闘パートもいちいち敵の技もクリックしないと進みません。Vitaのタッチスクリーン対応となってますが、会話中にタップしても進みません。せいぜい戦闘中の視界の上下くらいにしかなく、事実上機能してません。つまり、UIが糞。ということです。
これは果たして3部作の2部なのか?
なんか今回のうたわれるものは3部作の2作目、みたいな言い訳をしているようですが、2作目というより1.5作目という表現の方がふさわしかと。1+1+1で3部作でしょう。3部作というのは1つ1つがしっかりしているから成り立つのであって、1つのものを分割してそれぞれ1つとしてカウントするのは詐欺でしょう。そもそもですよ、事前にそのような触れ込みをしないというのは「汚い!」「アクアプラス汚い!」そんな人を騙すような売り方をして恥ずかしくは無いんですかね。
何となく臭うのですが、これもう続きの収録終わってませんか?
すでに声の収録は終わってる雰囲気がプンプンするんですけど。クリア後の特典としてキャストのトークが聞けるんですが聞いてて終わってんじゃないのこれ、と感じました。緘口令が敷かれてて情報が漏れてないだけのような。ラジオでも今回は厳重な箝口令が敷かれてましたし、怪しすぎます。
それと、エルルゥが出てこなかったのは、すでに亡くなってるという気も。ゲームの会話の中でエルルゥとは言ってないですが、クオンが過去形で話すシーンがあるんですよね。
本作、シナリオも書いてる人スナイパー一人なんですかね。いくらなんでも、目上の人に「了解しました」なんて言わないことくらい、社会人じゃなくても分かりそうですが。そこだけじゃないですが今回はシナリオに気になる点がちらほら。校正がんばってください。
声優も前回とは違い今が旬の声優を揃えているのが、どこか厭らしいんですよね。うたわれって、そういうんじゃない、みたいな話を柚姉にしたって言ってませんでしたっけ?
商業臭の強いうたわれの続編だった。本作だけでは欠陥品
何にしても、今回のうたわれるもの偽りの仮面は大量の広告を投入し、前作も広告として使ったマーケティング戦略と前作からの「信用の貯金」で売れていると思いますが、これは本作の評価の結果じゃないと私は思います。完全に「売り逃げ」するときの手法です、これ。ロングランで売る気は無いんですかね。これに高評価をつけちゃってるなら、まんまと騙されてますよ。気づいてください。
アクアプラスさんは心を入れ替えて、まっとうな商売をしてください。