【書籍】新世界より 読了

貴志祐介さんの「新世界より」。読み終わりました。
※アニメ化されるそうです!(2012/2/29追記)
とにかくとにかく面白かったです。

冒頭の回想調のトークから始まったので正直あまり期待してなかったのに。上巻の半ばくらいまではラノベにありそうな少年少女の和製ファンタジーくらいに思ってました。

が上巻途中からおやおやっと・・・あ、やっぱり貴志祐介作品だと崇め奉ることになりました。なお、ここから先はネタバレ全快な感じなので、読んでない方はご注意を。

呪力を持った人間が生活する未来の話

数千年先の未来、人類は呪力(超能力)を持つものと持たないものとの抗争で疲弊しきった時代を迎える。

主人公の早季は神栖66町という集落で全人学級と呼ばれる中等部に通っていた。ムードメーカーの覚、女王様っぽい真理亜、ブレーンの瞬、引っ込み思案の守と共に、夏季キャンプの課題として未確認生物の調査を決めた仲間らは、集落を囲む八丁標と呼ばれる注連縄(しめなわ)をくぐり禁足の地で移動型の図書館を捕まえる。

対話式の図書館で彼らは自分たちの歴史を知ることになるが、知識を管理する寺の僧に見つかり呪力を封じられて連行される。寺まで連行される途中、土蜘蛛と呼ばれる外来種のバケネズミに襲われ、僧侶は死んでしまう。呪力を奪われた仲間らは、彼らから逃れるため散り散りに逃げたが運悪く早季と覚は別のバケネズミに捕まってしまう。

この辺が上巻の半分くらいまでのあらすじです。こう見るとジュブナイル系ファンタジーだなぁーと思うわけですが、まぁこの辺から徐々に貴志祐介節が現れ始めます。

未来世界とか超能力バトルとか、それ以上にやばい設定が

ここまでなら普通に映像化できるなぁ、ミノシロモドキとかネコダマシとか、どうせ商品化するんでしょ?商売上手ね、なんて読んでた自分が恥ずかしい。

無理だ、この世界観を壊さないで映像化するのは。

まさかこの世界がレズ・ゲイ推奨だなんて誰が想像するでしょう?早季と真理亜はレズるし、覚と瞬はホモるし・・・。

バケネズミは数千匹がミンチのように殺されるし、巨大なネコダマシはゆーくり現れては子供を頭からぱっくりいっちゃうしねぇ。(もっとも、この辺は幻想的ですごく好きですが。黄昏時に巨大な猫が4つ辻からぼーと現れるんですよ。最高)

一抹の不安を与えて終わらせる。これぞ貴志祐介節

貴志佑介さんの作品は、どの作品も読んでいてじわじわっと何かに追い詰められている感じがしてそこがたまらないですね。本作も常に主人公たちは何かに追い詰められていて、そのマークが外れることはありません。上・下巻ぶっ通し。

だからこそ、冒頭からの回顧調が残念で残念で・・・。やっぱり主人公は生き延びたのね、と。回顧調のラストは2種類しかないですからね。現在の自分に戻るか、死んだ後に誰かが読んでるか。

本作は現在の自分に戻って話が終わりますが、唯一余韻を残しているのがおなかの中の子ですね。もしかしたら悪鬼か業魔では、と。

本作は本当にいい意味で貴志祐介さんの集大成のような本ですね。早季という漢字の持つ意味を持ってくるのはISORAですし、川辺で業魔をやり過ごすシーンは黒い家を彷彿とさせます。

バケネズミとの知力戦はクリムゾンの迷宮や青の炎を思い出しますし、テロメアや生物学的なシーンは天使の囀りのようです。守護天使なんてタームもちょっと登場してますしね。

私の中では貴志祐介さんの作品で間違いなくベスト1です。
全体的にまとまっていたサイコホラーの「黒い家」やコンセプトが好きな「クリムゾンの迷宮」も好きですが、これは本当に面白かったです。
いいとこ取りという感じです。

ところで、ジャンルって何になるんだろう?伝奇ファンタジーになるんですかねぇ、なんか違う気が・・・

下巻もぶっ通しで読みました。
でも、もう一回読みたい。
明日から2周目読みますよ。

文庫版が出たので、今から読むなら文庫版の方が手軽です。

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