プラスチックの黄変を可逆させるレトロブライト。前回、前々回の記事で見事に失敗した私は「あかん、ちゃんと読も」と反省し、もともとのwikiを読むことにしました。1次ソース、大事。
すでにwikiは消滅済み
「ゲーム機の黄ばみを取る方法」について調べたことがある人は、おや?と思うことがちょこちょこあるはずです。使う道具が決まってたり、数値がやたら具体的なのに、その情報源について言及している人たちが本当に少ないことに。とりわけ最近の記事やYoutubeなどはそうですね。
でもそれ仕方ないことで。
原点となる公開されていたページはすでに消滅しているのです。
調べた感じ2014年あたりになくなってます。
ですがキャッシュサイトを経由することで過去のサイトを閲覧可能でしたので、そこにある情報を掘り出してみましょう。
retr0bright(レトロブライト) 誕生
retr0bright Projectの誕生は、2008年3月にドイツのWuppertalにあるCBM博物館にて「過酸化水素溶液に数日間部品を浸すことで、部分的に黄ばみが元に戻るという偶然の発見」に始まるそうです。
この現象がAmigaコミュニティで取り上げられ、そこから化学者やプラスチックエンジニア、レトロコレクターなどがフォーラムに集まってきました。
このプロジェクトに関わっていたMerlinと呼ばれていた化学者Dave Stevenson氏は、フォーラムの話を聞き参加します。彼自身、元工業化学者で興味を持ち、最終的にABS樹脂に添加される難燃剤に含まれる臭素が黄ばみの原因であることを突き止めます。
原因がわかったことで分子レベルで何が起こっているのかを理解でき、retr0brightの精度が向上することになりました。
臭素の問題は2008年7月下旬、過酸化水素と少量の “Oxy “ランドリーブースターを触媒として使用し、UVランプを使うことで解決しました。オリジナルテストでは5日間かかったのに対し、2時間で完了するようになりました。
retr0bright(レトロブライト)の実験で使われたジェルのレシピ
wikiでは3つのレシピが紹介されていました。ただどれもが日本で入手するのは難しいものです。
Merlin氏のオリジナルレシピ
- 1パイント(500ml)の過酸化水素、濃度10~15%(40vol)
- キサンタンガム 大さじ2杯
- グリセリン小さじ1杯
- ランドリーブースター「オキシ」小さじ1/4杯
過酸化水素とキサンタンガムをブレンダーで高速で5秒間混ぜます。グリセリンを加え、さらに5秒間混ぜます。1分間寝かせて再び5秒間混ぜます。滴らない滑らかなジェルができます。このジェルは濃い色の瓶に保存可能です。
Lorne氏のレシピ
- 1/2パイント(200ml)の過酸化水素、濃度30%
- キサンタンガム小さじ2杯
- グリセリン小さじ1杯
- ランドリーブースター「オキシ」小さじ1/4杯
- 熱湯(沸騰していない)小さじ1杯
非常に小さなセラミック製またはプラスチック製のボウルにオキシをお湯で溶かします。(オキシがペーストやジェルに溶けにくい。)オキシが溶解している間に、過酸化水素とキサンタンガムを5秒間ブレンダーで混ぜる。その混合物にグリセリンを追加し、さらに5秒間ブレンドします。5分間寝かせます。
Tezza氏のレシピ
- 1/2パイント(200ml)過酸化水素、濃度6%
- アロールート「ホワイトクレスト」大さじ2杯
- ランドリーブースター「オキシ」小さじ1/5(オリジナルレシピのように使用直前にジェルに加える
アロールートを使用する場合は電子レンジで約45秒間温める(750ワットの電子レンジ)。ゲル状になればOK。オキシを振りかけ、スプーンで勢いよくかき混ぜる。
どのレシピにも共通するのが、過酸化水素・界面活性剤・増粘剤ですね。ワイドハイターEXパワーを使った際は、とろみが少ないので増粘剤のような補助が必要なのではないかと感じました。
ジェルの使い方
最初にパーツを洗って、パッチテストをすることをおすすめします。
パーツにジェルを塗る直前に、小さじ1/4杯の「オキシ」タイプのランドリーブースターを加えて徹底的にかき混ぜてから、UVランプの下や日の当たる場所に置いてください。
1日前後で新品状態になりジェルを洗い流せばOKです。
黄ばみが戻らないように、透明のアクリルニスを塗ってください。アーマオールやオートグリムなどの紫外線防止剤も有効です。
まとめ
記事を読む限り、過酸化水素溶液の濃度は6%もあれば十分そうで、さらに1日くらいで終わらせても問題無さそうですね。やはり6日間も紫外線に当てたのがまずかったか…。
ワイドハイターEXについても改善方法がありそうです。