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【コミック】水木しげるの幼少期を描いた「のんのんばあとオレ」が心にしみる

水木しげるさんの少年期の自伝的漫画である「のんのんばあとオレ」を読んだ。最初にこの作品を読んだのは中学の時だろうか、喫茶店の貸本として入っていたのを読んだ記憶がある。

その後、ドラマ化されたものを何回か見た。今ふと読みたくなりネットで検索し購入した。便利な世の中になったとつくづく感じる。

水木しげるの世話係に来ていた「のんのんばあ」

のんのんばあとは信心深いおばあさんのことらしいが、本作ののんのんばあは「拝み屋(祈祷師)」をやっていたらしい。

主人公のしげーさんは勉強は嫌いだがのんのんばあの話はよく聞きまた文化人の父と快活な母に育てられて成長していく。少年らしい淡い恋物語も語られるが、そのすべてがあまりに切ない最期を遂げている。

当時の戦争時代の匂いが感じられる作品に仕上がっている。

読んでみるに改めてNHKのドラマが原作に忠実に作られていることを痛感した。読みながらのんのんばあの話ぶりやゲゲの様子がドラマの映像を思い出させる。

ぽつっとした一言でもそれを思い出したとたん1コマに広がりを感じた。
「朝に晩にお祈りしちょるけどのんのんばあのお祈りはあんまりきかんけんなあ」
千草が危篤状態になったときののんのんばあの一言だが、ドラマでものすごく寂しそうなあの声が忘れられない。

この後、しげーさんが十万億土の桃源郷を描いているときに、千草が息を引き取る。十万億土を2人で旅するシーンはその終着点が分かれの時であるだけに、美しくも悲しい。

千草が亡くなった後、灯篭流しを見ながら涙ぐむしげーを慰めながら語る父の言葉には共感を覚える。
「勉強なんか落第しない程度にしたらええ。それよりいまは今でしか作れん財産をいっぱい作ることだ」
遊べるうちは遊んだほうがいい。それはここ数年しみじみと感じる。

小豆はかりの一言もいい。
「意地なんてろくな言葉じゃない。意地っ張り、意地汚い、意地悪・・・もっと自然体を学ぶことだ。運命に逆らうな。天に唾を吐けば己に災いが降りかかる」

人買いに買われていく美和との分かれのシーンはあまりに切ない。
「きっと幸せになれるよ」
「ああ。なってもらわんと困るが」
遠く神戸の空を見ながら美和の幸せを願うしげー。物語はここで幕を閉じる。

非常に道徳的な作品で、なるほどNHKにはうってつけな内容だなと納得。不条理な社会体制や戦争への皮肉も込められた内容で読み手の年齢によって捕らえ方が変わることだろう。

少なくとも私は中学時代に読んだ時とはまったく違った印象を持った。そして気が付けば何度も読み返している。あらためて名作だと感じる。

P.S.
実家に帰ったら録画しておいたドラマを探そう。どうしても見たくなってしまった。。あれ?そういやコミックのカテゴリに記事書くの初めてだ。


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makapy
ゲームと本と映画が好き。日常の生活で買ったり使ったものを紹介しています。

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