ぐしゃぐしゃに泣いた。今、生きているのなら、見て欲しい。存在を知ったのは、金曜更新の無法地帯ラジオ「ノイタミナラジオ」。そのなかで吉田尚記さんが東京マグニチュード8.0なる作品について触れていた。
携帯ばっかいじって世間に無差別な苛立ちを持った中一の女の子「未来」と周りへの気遣いが素晴らしすぎる弟「悠貴」。夏休みになってお台場のロボット展に行きたいという「悠貴」をいやいや連れて行くことになった「未来」。そのお台場で首都直下型マグニチュード8.0の地震に見舞われる。たまたま出会った「真里」とともに、自分たちの街まで歩いて帰ることに。
当初は震災教養的な作品なのかとも思ってたら、全然中身は違っていた。
最初の数話は何か舞台設定ありきで未来の性格が変にブレててどうしようかと思った。
ずっといらいらしてムスッとしてるのに、いきなりはしゃぎだしたり。悠貴に八つ当たりしたり、こいつほんとに姉ちゃんか?と見てるこっちが未来にイライラさせられてた。シナリオ回すために無理やり動かしてるようで、なんだかなぁと感じがしていた。
でもそれを上回る悠貴の行動と思いやりにやられてノンストップでラストまで。8話あたりからラストが見えるようなストーリーになる頃にはキャラの性格も安定。伏線はちょっと引っ張り過ぎかなとも思ったけども。もって1話分だろう。だいたい頭に瓦礫に思い切り当たってる時点で歩かせ続けたり走り回らせたりは絶対にダメでしょ?
もっともラストが見えてても最後結局泣いた。
本気で泣いた。
観終わってしばらく無力感・・・
地震から2週間。テレビはほとんど平常運転に戻ってしまった。今の報道は原発メインになってしまっている。まだたった2週間しか経っていないのに。
そもそも今回の被災状況はこの作品よりももっとひどい。地震のあとに津波まで起こって被災地の映像は作品の想定をはるかに上回っている。にもかかわらず、この作品のほうがリアリティを感じるのはなぜだろう。
メディアが映していないところがあまりに多すぎるからではないか。浜辺では死体が何百体と上がったなどというニュースが流れても、それが映像として日本国内で流されることはない。
アメリカのニュースサイトの方が日本のニュースよりも現場の様子を明確に流しているというのはおかしくはないか?日本は自主規制なのか政府からのお達しなのかクリーンな映像しか流されていない。だから震災報道が同じような映像を延々と流されている印象を受けたのだろう。
私は申し訳なく思う。このような作品を見たことによって初めて間接的に被害者の状況を少しでも感じたことに。今までニュースで数字が流れても被災地の情報が流れても、大変だ、何とかならないものかと思ったが、全然そんなもんじゃ無い、と今心から思う。
アニメはエンタメ色の強いメディアだが、本作や火垂るの墓のような強いメッセージ性を持って、ドキュメンタリー報道よりも現実を見せつけることが可能なのであれば、今回の地震、津波、原発を取り巻く真実の報道をいつか実写に変わって行われる日が来るのか、来て欲しいと願う。
今回の地震の被災地にお住まいの方々の無事を心よりお祈りいたします。犠牲になられた方々、ご遺族の方に対し深くお悔やみを申し上げます。100%は難しいけれども、少しでも早く元の生活に近づけることを、心から願います。