文藝春秋に貴志祐介さんの悪の教典特設サイトがあった。
ここでクラス名簿(PDF)がダウンロードできたり作品の第1章が丸々ダウンロード出来る。
ただ、この作品を読んだ人なら分かると思うけれど無料公開の第1章を読んで
「続きが読みたい!!」
なんて思う人がいれば、その人は始めからファンだろう。
買おうかどうしようか迷ってる人に、物語の序盤も序盤、登場人物の紹介や舞台設定を語るシーンを見せても購買意欲がそそられるはずがない。
サイコパスの先生が主人公の話で、1先生の日常と愚痴話、せいぜいカラスを退治した話を読ませるなんて・・・
おそらくは単純にキャンペーンだから最初の章を見せよう、とアップしたんだろうが、ゲイのない手法だ。
この辺は昨今のアマキャン(Amazonキャンペーン)の悪い癖を露骨に受けている。私はコンサルでいくつかアマキャンをやっている。失礼を承知で書くが、残念なことに出版社の人たちは発想力があまりない。
本当に面白いところを惜しみなく出したほうが絶対に売れる
映画だってドラマだってPVでは見どころのシーンを遠慮せず見せる。その方が宣伝効果が高いからだ。
私ならこんな動きのないシーンなんか絶対アップしない。ラスト間際の大量惨殺シーンか、それが出しすぎと感じるなら集団カンニングを防ぐシーンを載せる。
さすがにハスミンと奴隷化した美彌の濡れ場を載せるのは…ゲスいがそれも手法としてはありだと思う。
できる事なら一シーンを丸ごと漫画にしてアップする。
小説の宣伝に1シーンを漫画で見せればキャンペーンとしては十分話題性が取れるだろう。
何よりこの作品は、始めからマルチメディアを意識したかのように大衆作品になってると感じた。「新世界より」より確実に映像化しやすい。
途中から読んでも分からないと思ってやめたのかもしれない。が私たちが学生の頃、教科書に書かれていた作品を思い出せば物語の一部を切り取っても十分ストーリーが分かることが想像出来るはずだ。
それでもわからないと思うなら最初に5行くらいの説明をつければいい。
学生の時に、読んだ作品の続きが気になって本を買った経験がある人は多いと思う。それは物語の面白い場面を読んで全部読みたくなったからだ。
読んで面白い!と思ってもらわなければ特設サイトを作ってキャンペーンをしたところで全くの無駄、どころか逆に面白くない印象を与えてしまう。
そういった点で、あの特設サイトの無料ダウンロードは逆キャンペーンになってしまっているのではないか、1ファンとしてとても心配だ。
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