ゲーム

零~刺青の聲~1周目クリア後の感想。

「零zero」初プレイからはや4年。
首を長くして待ち望んでいた期待の新作「零~刺青の聲~」が2005/07/28に発売。
一周クリアしてあらためて「零」シリーズは名作だと感じた。

今回は主人公が3人。
新登場のキャラクター、ジャーナリストの怜に加えて、第1作「零~zero~」の主人公で行方不明になった兄を探しに廃屋へと向かった「雛咲深紅」、第2作「零~赤い蝶~」の双子のヒロイン、澪と繭の叔父でありシリーズ初の男性プレイヤー「天倉蛍」を操作する。
単にプレイヤーが増えたわけではない。
このゲームのメインである戦闘に使うカメラ「射影機」のシステムが関連する作品にあわせられている。またプレイヤーごとに強力な固有能力を持っている。(蛍の固有能力は疑問だが。)
シューティングゲームで機体ごとにウエポンや性能が違うようにプレイヤーにあわせた戦闘スタイルを見つける必要がある。もっとも零シリーズになじんだプレイヤーなら楽しくプレイできるだろう。
初プレイヤーは始めは戸惑うかもしれない。ただ、これはシリーズ物だからというわけではない。カメラを構えて視界を狭められた状態で、霊をフィルムに収めるという「零」シリーズ独自のシステムに戸惑うことはあるだろう。これは、初めは誰もが経験することだ。
異色なシステムながら慣れると虜になることうけあいである。

シリーズ物の醍醐味は3作目から。
今までの作品の登場人物の名前がそこかしこにちりばめられた本作は、既存プレイヤーには感涙物。探索しながら資料を読むたびに、ばらばらになっていたシリーズの欠片が集約されていく。本作は見事に3作品をつないで「零」ワールドを形成した点で1つの分岐的な作品といえる。

零の新作と聞き、まずエンディング曲を想像した人は多いだろう。
紅い蝶のムービーとエンディング曲の完璧な融合を初めて見たときは震えが走った。
呆然自失。何も考えられないほど強烈なトラウマをうみつけてくれた。
本作のエンディングもそれに負けず劣らずの映像と曲のコラボを見せてくれた。
初めはピンと来なかったが、改めて歌詞を読みながら曲を聴きなおして再度エンディングを見返してみると、なるほどこの曲以外にないなと思ってしまう。

概ね満足な本作だが若干気になる点がある。

本作の終盤、瘴気が屋敷を覆うとプレイヤーは屋敷に点在する「祓いの灯火」を見つけることになる。この灯火は時間制限があり、切れる前にまた別の灯火を見つけて継ぎ足す必要がある。そうしなければ怨霊を呼び寄せ、探索の障害になったり、場所によってはセーブが出来なくなったりする。
これは時間の制約を課し緊迫感を持たせるための演出なのだろうが、絶対霊のラスボスに頻繁に登場されては、本来の恐怖感がなくなってしまった。

ホラーもので最も恐怖を感じる瞬間は霊や怪物がでた後ではない。
何も出ていないときに「この先に何か出るかもしれないと感じた時」だ。
あの角を曲がると何かがいるかもしれない、そう感じて角を曲がった瞬間だ。
何も出なくても別にいい。
その好例がミッションモードのLevel9以降の奈落の底へ向かうシーンだ。
奈落は深い。途中鳥居の上を歩くがゆっくりとしか進めない。
霊が出るのは間違いなくここだと直感する。そして案の定、霊が出現する。
しかし、もうひとつ鳥居を渡る必要がある。そして鳥居に差し掛かるとき、また思う。
ここで現れたら・・・。
だが意に反して何も現れない。ほっとする。恐怖を感じつつもほっとする。
これこそがホラーの醍醐味なのだ。安全が保障された状態で不安の頂点から安堵へと移る精神の不安定さを味わえることが重要なのだ。

その点で、この「祓いの灯火」のシステムは私にとっては大いに不満な点だった。

もうひとつは、章の終了やクリア後にアイテムを引き継げないことだ。
これは今作が今までの作品とは違い、いつでも自室に戻れるということと、クリアデータの持ち方がグローバルデータでなくなったからであろう。
自室に戻ると特定のアイテムはリセットされる。そしてクリアするとすべてのアイテムがリセットされる。
1プレイで2回しか取得できない貴重な零式フィルムやHPを全回復してくれる御神水を大切に温存しても次回のプレイには持っていけないのだ。
前作までは、貴重なアイテムをEasyモードで入手しNightmareモードで利用して解くといったことが可能だったがこれが出来なくなってしまった。
今までの作品を考えると雑魚キャラですら2回攻撃を食らうと瀕死状態だった。敵が固くなり攻撃力が強くなるhardモード以降で、強化した射影機だけでどこまで戦えるか。時間と根気があれば何とかなった前作までのようにはいかないことだけは確かなようだ。もっともこれはこれで楽しみなのだが、できれば引き継ぎ有無を選択できて、なしでクリアしたらポイントがより多く貯まるなどの配慮をして欲しかった。

最後の不満点は蛍の固有能力だ。
他の2名の能力が実用的な戦闘能力であるが、蛍の「隠れる」能力は非戦闘能力。このゲームの大半は射影機による戦闘である。ただでさえ弱い霊力で戦わなければならないのに、固有能力が非戦闘能力では使い物にならない。結果1度も使わずにクリアしてしまった。できれば戦闘能力が欲しかった。たとえば命を削りながら(HPを消費しながら)霊力に変える「火事場のクソ力」的な能力があってもよかったのではないか。

以上、1周目を終えての感想である。
1本のソフトとしての完成度は非常に高く、大変満足している。
しかし、シリーズとしてみるならば紅い蝶をやったときほどの前作からのステップアップが見られなかったのは残念である。
なにより、自宅と屋敷を行き来することによって閉塞性がなくなってしまい、締め付けられるような不安感が消えてしまったことが残念で仕方ない。
公式サイトのコラムを見る限り、次回作がほのめかされているようなのでより一層の発展を期待しよう。


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makapy
ゲームと本と映画が好き。日常の生活で買ったり使ったものを紹介しています。

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